夕物語
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「どんなに広い河が僕たちの前に立ちはだかっても、僕たちの邪魔はできない」

なんて強がり言ってみたけど、思いっきり邪魔をされている。

おかげでか彼女にはもう何年も会っていない。

そしてそんなことを言ってしまった自分に後悔をしている。

そりゃあ、自分達にとって1年なんてたいした時間じゃない。

それでも会えるに越したことはない。

というか毎日会ってベタベタしてるカップルが羨ましい…。

ああ、いかん!!

そんなことを考えてたら、1年に1回どころか

50年に1回しか会えなくなってしまうかもしれない。

それに今の彼女は「ベタベタ」とかって好きじゃないと思う。

ぼくの彼女はクールビューティー。

ああ、愛しの織姫。君は今何を考えているんだろう…?

こんな時はついつい空を眺めてしま……

なんだかやけに雨雲が多くなっていないか?

気のせい、気のせい。。。

きっと西の空にある黒い雲は自分の目の錯覚に違いない。

織姫、たとえ天の川が邪魔しようが僕は何が何でも君に会いにゆくよ。

そういえる自分になれたらどんなにいいだろう。

勇気のない自分が情けない。

それでも、行くだけ行ってみようか。

彼女も待っているに違いない。

出かける用意を始める。

自分が持っている中で一番いい服を着る。

髭はいつもより念入りに剃る。

髪は乱れないようにきっちり整える

一通り支度ができて、外に出る。

そこで、帯をきゅっと締め直すと同時に気持ちも引き締まる。

今なら何でもできるような気がしてきた。

この意気だ。

俺は歩き出す。彼女のもとに向かって。

天気ばっかり考えててもしょうがない。

雲の合間から射す夕日が俺の背中を照らし出す。

ま、とりあえずは

来年は俺も短冊に「織姫に毎年会えますように」って書こう。



 今年の七夕の日に勢いに任せて書いた短編。それ故に思ってもみない方向に話が進んでしまいました。 織姫の愚痴をつらつら書きたかったのに。織姫が私好みの女性になった代わりに、彦星の方が 情けなくなりました。
 二人はお空の世界に住んでいるのに何故天気について語るのか等々、矛盾している点はありますが、 ほとんどの場合(一部は素?)わざとやっていますので悪しからず。 織姫と彦星が語っている天気についてはそのシーンを書いているときの私の見た天気で ございますので。
 それにしても、ベタベタカップルですみません。
 書いているときは何も考えていないのですが、出来上がってみてびっくり。 彦星曰く、自分もベタベタしたいそうですが、あんたら十分ベタベタカップルよ。
 他の人にはこの2人はどう映ってるんでしょうか。。。気になるところです。

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