画策されてるんじゃないかしら、と思う。
見上げた空は青空が7、白い雲が2、雨雲が1というところだろうか。
昔から「他人の不幸は密の味」という言葉もある。
そりゃあ、ね。
「どんなに広い河が僕たちの前に立ちはだかっても、僕たちの邪魔はできない」
なんて赤の他人が言ってたら、
他人の不幸を思いっきり甘い蜜にもしたくなるかもしれない。
ううん、誰だってそうしたくなるに決まってる。
中にはクサすぎて笑っちゃう人もいるだろうけど。
はぁ。
空を見上げてみる。
たった5分前に見たばっかりだけど。
そもそも朝から空ばっかり見てため息ついてるけど。
朝はあんなに曇っていたのに、いつの間にか晴れていた。
西の空に雲が多めなのは気になるところだけど。
今年こそ会えるかもしれない。
ああっ!大変!
朝から空ばかり見上げてて、家の中をきれいにするのをすっかり忘れていた。
急いで、掃除しなきゃ。
まずは窓を開け放つ。
この時期特有の生ぬるい風が部屋に入り込んできた。
彼のいるはずの方に向かって私は叫んだ。
「牽牛〜!今年こそ会いに来なさ〜い!」
Side-B
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