父親は数年ぶりに娘とのコミュニケーションをとろうとしていた。
「さいきんどうだ」
「最近どうって何が?」
「学校とかだよ」
「別に…フツウだけど」
お互いに目は合わせない。それでも父親は娘との会話が成立していることに感動していた。
以前は話しかけても無視されていたのだから。
父親はさりげなく娘の方を見てみた。髪を栗色に染めて携帯を片手にカチカチとメールを打っている姿は
今の女子高生らしいと思う。最近になってやっとメールが打てるようになった自分とは大違いだ。
「ずいぶんメールをうつのがはやいな」
「ちょっと! 友達からメールが来たんだから邪魔しないでよ!!」
その友達とは同性なのか。聞こうと思ってとどまる。ここで邪魔をしたらまた娘に無視されてしまう
かもしれない。父親は娘が友達にメールを返すのを待った。
「友達とメールでどんなやりとりをしているんだ」
「別になんだったいいじゃん。いちいち人のことをセンサクするのやめてくれる? ウザイんだけど」
「父親にうざいなんていって…」
父親が全部言いきる前に娘は席を立った。初めて父娘の視線が合う。
「ああっ! もう! お父さんが変なメールをよこすから電池が一本になっちゃったでしょ。
メール受信するのだってお金かかるんだから。最悪!」
これぞ現代の親子関係……なのでしょうか?
父親はまだ慣れていないためひらがな多め。?は使えないでしょう。娘の三点リーダが一つなのも
メールのため。娘の携帯はきっとau(自腹切ってるみたいだから学割使っているのだろう)。
直接話しかけられるとシカトするのに、メールだと返事をしてしまう娘はやはり現代っ子なのでしょう。
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