世界は今、崩壊の危機に瀕していた。
国王は賢者に世界を救う若き勇者を占いとその知恵で選び出してほしいと頼んだ。
国民の平均寿命の八倍も長く生きている賢者は只今八一四歳。
一般の人より長く生きているだけ知識は豊富だし、賢者の言うことはいつも正しい。それに占いもできる。
賢者は、世界を救ってくれるだろうと思われる戦士、魔法使い、神官、竜使いを一人ずつ選んだ。
勇者達の旅立ちの日、城の謁見の間に勇者達は集められた。国民はまだ、
世界が崩壊しようとしていることは知らない。そのため、
勇者達の門出は極秘裏に祝わなければなかった。
国王は非常に不安そうな顔をしていた。無理もない。
今は彼らに世界をゆだねることしかできないのだから。
賢者は勇者達に向かって言った。
「若き勇者達よ」
勇者達は顔を上げた。戦士以外、皆立派な杖を持っている。
杖は魔法をかけるのに欠かせない道具である。三人も魔法が使えるものがいるとは心強い。
「君たちのすべきことは……」
賢者は出発を祝う言葉を授けた。
「……そこは非常に険しい道で……」
「……困難なこともあるかもしれない。しかし、信じれば必ず道は開ける」
ふと勇者達を見ると、竜使いが座り込んでしまっている。ついつい調子に乗って長話をしてしまったか。
賢者はそこで話をまとめることにした。
「そういうわけで、この世界を、我々の世界をどうか救ってくれ」
賢者が満足して勇者達を見回す。
「はあ、賢者様、何かおっしゃられましたでしょうか」
魔法使いが言った。
確かに自分の話は長かったが、何も聞いていないとは、なんと失礼な魔法使いだ。
「あの……」
今度は戦士だ。
「私はもう戦士をやめてしまっているのですが」
なんということだ。
しかし、はいそうですか、と別の戦士を捜している時間はない。戦士をやめたからといっても、
自分の見込んだ戦士だ。そのうち感覚を取り戻すだろうし、問題はないだろう。
それよりも、これ以上何か言われる前に勇者達を出発させた方が良さそうだ。
「若き勇者達に幸あれ」
賢者は勇者達の背中を押して、無理矢理謁見の間から追いやった。先頭を歩いていた戦士の足がよろけ
て、勇者達はドミノ倒しになった。しかも、なかなか起きあがらない。
(やはり世界は崩壊するしかないのかもしれない)
国王は勇者達をぼんやり眺めた。
勇者達は皆、御年九十二歳。
確かに、賢者から見れば十分若いかもしれない。
私にしては、ちまちまと伏線を張ってあったり、タイトルオチだったり……。
その分オチがばれそうな気もしますが。
ってか、賢者元気ですね。彼は何歳まで生きるのでしょう……?
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