ョートショート

追う影

 はあっ、はあっ……
 あたしはただひたすら逃げていた。
 その影は、確かにあたしにぴったりとくっついていた。 逃げても逃げても追ってくる。決してあたしから離れようとしない。
 小学生のシンボル、赤いランドセルがとても邪魔だった。
 それは毎年、この時期に小学生を2,3人ずつ狙っているらしい。 それから一度逃げ切れたら、もう狙われることはないという。 しかし、捕まってしまったら、とんでもないことが待っているらしい。
「あんた、狙われてるんじゃない?」
 とお姉ちゃんに言われたのは昨日のことだった。まさかあたしを狙ってるなんて、と笑ったら、 お姉ちゃんが普段になく真面目な顔をして言った。
「他人事だと思って甘く見ない方がいいよ。だって、今日あんたの後ろに変な影がいたもん。 帰る時は後ろに気を付けなさい」
 そう言われて今日の帰りに後ろをそっと振り返ってみたら……お姉ちゃんの言うとおりだった。
 影はあたしにぴったりとくっついていた。そして、それはあたかもあたしを狙っているようだった。
 もしかして、あたし狙われてるの?
 あたしが走り出したら、影も同時に走り出した。
 あたしは家に向かってひたすら逃げた。
 影はどこまでも追ってくる。
 その時、あたしは転んだ。
 もう限界だ……立ち上がって、これ以上走るなんてできない。
 あたしは地面にに手をついて荒く息をした。
 コツン、コツン、コツン、コツン……
 後ろから足音が聞こえてくる。
 転んだときにすりむいた膝の痛さと、影の恐怖で涙が出てきた。
 足音はあたしに近づくにつれ、だんだんゆっくりになってくる。そしてあたしの真後ろで止まった。
 あたしの肩にそっと手が置かれる。
 クックック……
 押し殺すような笑い声が聞こえてきた。
 思い切って振り返ると、お腹を抱えて笑うお姉ちゃんだった。
「自分の影から逃げられるわけないじゃない。あんなの全部作り話に決まってるでしょ。あんた、馬鹿?」



もっと緊迫感のあるような文章が書けるようになりたいです。
「あたし」があんまり小学生っぽくない語り口調なのが、まだまだ未熟ですね……。
ネタ的には全然たいしたことないですが、某話のネタのきっかけになったという意味では 重要な作品です。

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