〜2幕7章〜
「うわぁぁぁぁん。白雪姫〜〜」
「目を開けてくれよぅ」
小人達は白雪姫を棺の中に入れ、周りにきれいなお花を敷き詰めました。
そうすると、小人達の悲しみは一層強くなりました。
今朝まで小人達を見つめていた愛くるしい瞳は閉じたままです。
頬の赤みも少しずつ消えていくような気がします。
もう、白雪姫は小人達に優しく微笑みかけてくれないのです。
「白雪姫〜。どうして死んじゃったんだよ〜」
「君がいないと人生灰色だよぅ」
小人達はさらに激しく泣き出しました。
小人達がずっと泣いていると、遠くの方から何やら音が聞こえてきました。
かっぽかっぽという音はだんだんこちらに近づいてきます。
「そんなに泣いてどうしたんだい?」
音の主……王子様は白馬から軽やかに降りると小人達に訪ねました。
「白雪姫が悪い魔女にだまされて死んじゃったんだ」
小人達は王子様に今までの出来事を大まかに説明しました。
王子様は片膝を地につけて、白雪姫の棺をのぞき込みました。
こんなに美しい人は見たことがありませんでした。
王子様は白雪姫に唇に自分の唇を重ねました。
気付いていたらそうしていたのです。
下心もあった、と言われれば否定できません。
「わ…たし……どうし…て…たの…かしら…?」
すると、まあ不思議です。
かすれた声の主は死んだはずの白雪姫でした。
さっきまで固く閉じていた瞳はうっすらと開けられ王子様を見つめています。
「白雪姫!僕たちがわかるかい?」
小人達はわぁっと白雪姫の周りに集まりました。
王子様がそっと白雪姫を抱き起こしました。
「小人さん…。私、どうしたのかしら?おばあさんに林檎を売ってもらって…
林檎を食べたところまでは覚えているのだけれど。」
「白雪姫、君は1回死んでしまったんだけど、王子様のキスで目覚めたんだよ」
白雪姫の顔がすっと青ざめました。
「王子様が私にキスをしたの…?」
「ええそうです、姫。あなたのような美しい人は初めて見ました。
ぜひ私と結…」
白雪姫は自分を支えてくれている王子様をどんっと突き飛ばしました。
「ファーストキスは愛する夫となる人とって決めてたのに…。
もうこれじゃ、お嫁にいけない!!」
白雪姫はしくしく泣きながら小人ハウスへ駆けて入っていってしまいました。
「あ、白雪姫。待ってくれよぅ」
小人達もパタパタと白雪姫の後を追っていきました。
「ああ、姫……」
棺の前に残されたのは王子様一人。
「いんや、俺もいるよ」と白馬がヒヒーンと鳴く声が森中に響きました。
いつもとはちょっと違うパロディもの。
タイトルでオチが分かってしまうような気もするのですが、
敢えてそうしました。でも、この白雪姫、必要以上に貞淑というよりも早とちり屋さんですね。
王子様は嫁にもらってやるって言ってるのに…。
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