「彼女」は一昨年、世間を騒がせたうちの一人だった。
当時、テレビをはじめとしたマスコミでは「彼女」の名前があふれ返っていた。
老若男女問わず誰もが彼女を拝んでみたいと思っていたに違いない。
俺もたったの1回きりだが「彼女」に会ったことがある。
去年の7月あたりに何を思ったか本田が会わせてくれた。あのときの感動は今も忘れられない。
またすぐに会えるだろうと呑気に構えていたのだが、
それ以来俺は「彼女」に会っていない。俺が思っていたより庶民的ではなかったらしい。
コメンテーターの予測した通りに、「彼女」の人気は一時的なものだった。
以前は「彼女」が駅前の大手有名百貨店や銀行に出没するという噂を聞いたが、最近はそれすらない。
当時、「彼女」の話題で持ちきりだった俺達も、
いつも間にか「彼女」のことを口に出さなくなっていた。
俺は「彼女」の顔もよく思い出せなくなってきていた。
今では「彼女」の存在自体を忘れている人の方が多いのではないだろうか。
しかし、俺の場合自分の記憶と反比例して、
心の中で「彼女」の存在が大きくなっていった。「彼女」の顔をどうしても確かめたかった。
新渡戸稲造の名前がでそうででないときのと同じくらいもどかしかった。
「なあ、本田。二千円札に描いてあるのって誰だっけ?」
沖縄の守礼門と「光源氏(紫式部)」です。
たまたまおつりで2000円札をもらって、これを書いたのは2001年。
2000円札発行は2000年。当時はタイムリーなネタでした。
ちょっと今だと古すぎて面白みが半減します。しかも、文章がまだ未熟。
一応加筆修正していますが、まだ足りません。
ちなみに原本の本田君は「聖徳太子」と答えていました。結局そんなもんですよね、
2000円札。
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