俺は先ほどから視線を行ったり来たりさせていた。
(マジでどうしよう……)
典型的優柔不断なA型。決まらないものは決まらない。揺れる乙女心ならぬ純情青年心。
俺に注がれるは二対の瞳。
恵ちゃんと美衣ちゃん。
四つの大きな瞳は決して俺から離れることはない。何を考えているのかがわからないその表情に余計に焦りが生まれる。
恵ちゃんは付き合いが長い。安心すると同時に正直飽きがきていないわけでもない。一方、美衣ちゃんは俺がずっと追いかけて
追いかけてやっと手が届いた存在だ。それだけに近づきがたさもある。
俺は二人を見ていられなくなって、視線を天井へと移した。
本当は二人共選ぶことができればいいんだけど。三人仲良くっていうわけにもいかない。二人とも口には出さないけど、
俺にははっきりと感じられるのよ。二人の間に熱い火花が飛び交ってるのが。私を選べって言ってるのが。それに一度に
二人も相手するなんていうことはできない。男ってのはね、ブキヨウデスカラ。
そう言うと、本当の男ならば一人を大切にするものだ、とか言われるんだろうけど。でもさ、美衣ちゃんはすんげー可愛かったの。
俺のモロ好みだったわけよ。なんで、美衣ちゃんと出会ってしまったんだろう。そうすればこんな思いもしなくてすんだのに。
殺風景の俺の部屋は、カチコチと時計の秒針の音がかろうじて聞こえるだけ。部屋の静けさが気まずさを増している。ここで、
激しく女のバトルとかされても困るけどさ。
というか、カチコチっていう時計の音。絶対に俺をせかしてるだろっ。俺に何の恨みがあるんだよ。
俺は再び視線を二人に戻した。星が飛ばんばかりの輝きを放つ瞳に俺の決心は鈍りまくりだ。
(ええいっ、もうやけくそだ。今日は恵ちゃんと寝よう。)
新しいスーパードルフィーに俺の汗くささが移ったら嫌だしね!
「お題バトル」参加作品。テーマは「迷い」でお題は「汗・揺れる・追いかける・星」。制限時間1時間。
なお、新鮮さを保つため改稿はしていません。
結局SSにたどりつく自分を悲しく思いつつ、時間の半分近くは二人の名前を考えるのに費やしたとかは秘密。結局某アイドル(?)
グループから取ってしまいました。
今回の参加者→JINRO様、
平塚ミドリ様、
野田乃音様、
Aquaphoenix様。
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