「500字の心臓」参加作品
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頭蓋骨を捜せ

「これはどういうことかね」
 私を呼び出した部長は、表情をこわばらせて一枚の写真を差し出した。
 ついにばれてしまったか。
 目を落とすと、写っていたのは間違いなく自分であった。
「プライバシー保護が叫ばれる時代で、申し訳ないと思ったが調べさせてもらった」
 写真を持った部長の手は小刻みに震えていた。
 私はそんな部長をよそに、凶器になるようなものは持っていないな、などと考えていた。何かの間違いで部長を殺してしまうことはない。 仲間より被害は最小限にしろと言われているのだ。
「こんなことになるなら、もっと、早く気づくべきだった」
 気づいたところで結果は変わらない。
「なぜ言ってくれなかったんだ」
 言えるわけがない。言ったら今までの努力が無駄になってしまう。
 私は再び部長が手にしたものを眺める。健康診断の時のレントゲン写真。よくこんな物で気づいたなと感嘆するのみであった。
「まさか、君が脳腫瘍だったなんて。しかも、骨が溶けてしまうまで進行していたとは」
 ああ、そうか。確かに写真の頭部は真っ黒い空洞になっていた。
 それにしても、なんて平和な星なんだ。侵略できるのも時間の問題だな。 



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 タイトル競作  「500字の心臓」参加作品。
 500字の壁はとてつもなく高い。部長がんばれ。


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